JSTARに寄付をいたしました。この寄付には、わたし個人だけではなく、肉腫治療の発展を願うたくさんの方の気持ちが入っているので、経緯なども含めてご報告させてください。
まずは自己紹介ですが、わたしは、2016年に後腹膜脂肪肉腫(高分化型)と診断された患者です。3度再発し、手術3回、抗がん剤、治験、また手術を経て、本当におかげさまで、いまも楽しく暮らしています。
2022年、2冊の本をつくりました。1冊は、わたしと肉腫(ピノコという名前で呼んでいます)の個人的な向き合い方について綴った本。もう1冊は、SNSや患者会たんぽぽで出会った53名の肉腫仲間に「生活」「治療」「病院」「つらいときの対処法」など約30問の質問をして、皆さんの回答をまとめた本です。
*クリックすると本の詳細をご覧いただけます。

本をつくり始めたときから「売上はすべて肉腫治療の開発研究に寄付します」と決めていました。その結果、肉腫仲間の皆さん(ご家族含め)、他のがんや病気を抱えている方、ご友人、医療者の方、企業の方、たまたま書店等で興味を持ってくださった方など、たくさんの方がこの本たちを手に取り、この寄付活動を応援してくださいました。ひとりで何冊も購入して、自分の主治医や周囲に手渡してくださった方もいらっしゃいます。なかには、「このお金もぜひ寄付に含めてください」と本の代金以外のお金を託してくださる方もいらっしゃいました。
この寄付を応援してくださった肉腫仲間の皆さんは、さまざまな地域に住み、さまざまな病院に通い、さまざまな種類の肉腫を抱えています。「どこに寄付をすれば、なるべく多くの方の利益になるだろう」と考えた結果、日本における肉腫治療の研究を推し進める礎となる活動をしているJSTARに寄付したいと思いました。(JSTARのどんなところに魅力を感じたかはこちらをお読みください。)

本をつくってから3年が経ちました。
時折、『Sarcoma Book(53人とサルコーマの話)』を一緒につくった皆さんの近況を聞きます。
本当にうれしいことに、再発なしで(だけど経過観察の定期検査のたびに不安でいっぱいになりながら)なんとか元気に過ごせている方たちもいます。なかには、再発や転移が発覚してあらたに治療を受け(前よりも少し不自由になった身体と向き合いながら)新しい日常を再構築している方たちもいます。
そして、この3年という短いあいだに、少なくない数の方が旅立ちました。病気になる前、死というものは遠い存在だったのに、訃報に慣れてしまいそうになります。できれば慣れたくないのに。
そういったお報せを受けるたびに、希少がんのむずかしさを感じます。もっと試せる治療があってほしい。新しい治療が世にでるまでの慎重で綿密なプロセスに感謝を抱きつつ、でも、間に合ってほしかったし、間に合ってほしいなぁ、と日々思っています。
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すべての病気に学会が存在するわけではない状況のなかで、患者数が少なく社会認知度が低い肉腫という病気に、JSTARのような学会が存在してくれていることは、本当にありがたいことだと思います。そして、JSTARにたくさんの先生方が所属していらっしゃることは、患者にとって大きな希望です。ありがとうございます。医師、研究者、患者、患者家族、企業の方など、異なる立場の人々の声を集め、ともに学び合い議論しながら、肉腫をとりまく状況を良い方向に変えていく活動をしてくださっているJSTARに、たくさんの方からお預かりしたお金を寄付したことをここにご報告いたします。
2025年7月 吉﨑有希絵
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PS
肉腫仲間の皆さん、気持ちや身体がめげそうになることもありますが、肉腫治療の研究に心血そそいでくださっている医師や研究者の先生方が沢山いらっしゃいます。少しでも長く生き延びることができたら、遠くない将来、自分に合う新しい治療や治験に出会えるかもしれないので、どうにかがんばりましょう!
JSTARの先生方、企業の皆さま、なにとぞ、なにとぞ、よろしくお願いいたします!
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